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はじめての
テリアブル・
ライフ
1月
そしてジャック・ラッセルにたどりついたのだの巻
2月
ひとりで飛行機に乗ってきたのだの巻
3月
超高速パピー、
ダリ号発進!の巻
4月
危険なまでにフレンドリーの巻
5月
あっぱれ!脱出王の巻
6月
日々是学習!?ダリの幼稚園ライフの巻
7月
ブリブリ・テリアになっちゃった!の巻
8月
目を離したがウンのツキの巻
9月
フーリガン・プチあらわる!の巻
10月
この世は巨大なスタジアムの巻
11月
オトナになんかなるもんか!の巻
12月
あなたも冒険してみます?の巻

 
写真・上
生後2カ月くらい。ソファのひじ掛けの上で得意げに仁王立ち。やってきたその日からリビング中を駆け回っていたダリは、すぐにソファのひじ掛けはおろか、背もたれの上も忍者のごとく走るように…。この頃、アゴの成長が舌に追いつかないのか、いつも口からベロがはみ出していて、アカンベーをしているような表情が悪童ぶりをいっそう引き立てて(?)もいた。
写真・中
迎えて2週間目に最初の予防接種を受けたときも、ギャオギャオ〜ッと大暴れ。部屋の向こうで顕微鏡をのぞいていた先生が、あまりの騒ぎにびっくりして振り向いたほど。写真は、二回目の注射。このときはなんとか暴れずに済んだ。
写真・下
最初の注射が済んだら、そろそろご近所デビューというわけで、シャンプーという難関に挑戦。洗い手2名プラス記録係(カメラマン)の3人体制で臨んだのだが、思いがけなく咬まれなかった。キッチン用のたらいがちょうどいいバスタブに。
 

超高速パピー、ダリ号発進!の巻

〜2002年3月〜
大人ばかり4人の家族がようやく迎えた愛犬2代目は、
ダリと名付けられたジャック・ラッセル・テリア。
毋犬の元からひとりで飛行機に乗ってきた、
図太い子犬との新生活がスタートしたのだが…
オシッコ池は国境を越えて

 ちょっと想像してみてください。
 めいっぱい膨らませた風船の口を抑えているとする。その先端には、細くて鋭い針が並んでいたとする。そして後方からは、いささかクサイ液体と固形物が、時を選ばず排出されるとする。で、この風船を放すとどうなるか?
 答えは「ジャック・ラッセル・テリアの子犬になる」。まぁ、風船のように宙を飛ばないまでも、生後50日でわが家に出現したその日から、ダリはフルパワーで活動を開始したわけである。
 もちろん、迎え撃つ我々だって、子犬を迎えるのは2度目だし、両親犬はもとより何匹ものジャック・ラッセルに会い、その元気ぶりをとくと見聞きして、覚悟もできていたつもりだった。そしてダリを迎えるその日には、準備もぬかりなく整えたつもりだった。
 子犬の生活の主な舞台となるリビングには、「さぁ、オシッコでもウンチでもド〜ンと来い!」との意気込みで、工事現場用の青いビニールシートを敷き詰めた。その片隅には、先代犬が残したケージを洗い浄めて設置したし、おもちゃもお皿も揃ってる。
 けれど、人間の記憶とは、なんと頼りないものだろう! 先代犬の子犬時代から10余年過ぎた今、家族全員、子犬がどんな生き物か、すっかり忘れて果てていたのである。しかも、事前に面会したジャック・ラッセルたちはみな、思えば立派なオトナだったっけ…。
 長旅の末、ようやくわが家の床に降り立ったダリは、ピチャピチャと水を飲んで、ひと休み…どころじゃあない。水分補給したら即発進! およそ秒速1Eでテケテケテケッと走り回るのだが、その方向は(たぶん本犬にも)予測不能。ふいに止まったかと思えば、抱き上げる間もなくジョ〜ッときた。そして、奇しくもそこはビニールシートの向こう側、国境を越えたカーペット地帯なのであった。
 そうなのだ。わが家のリビングはダイニングと地続きのLDで、にもかかわらず、ビニールを敷いたのはリビング側のみ。ビニール地帯の限界がオシッコ国境線だなんて、子犬にわかるはずもないのだった! と、反省もそこそこに、あわてて事態収集にかかると、今度はその手にジャレついてくる始末。
 しかしまぁ、粗相なんてものは子犬の必修科目のようなもの。なにはともあれ、はじめての人間にも環境にもおじ気づくことなく元気に駆け回る姿は、愛らしいじゃあないの。さぁ、こっちへおいで。そのプリプリのお腹に頬ずりさせてよ…と、膝に抱き上げると、ギャルルルギャオギャオッ、ガブッ! 生け捕りされた野生動物みたいにもがき暴れ、ちっちゃな頭を振りたてて、画鋲みたいな乳歯を手に突き刺さした。なんてこった! この子は噛み癖があるのか? しかもだっこが大キライ?
 

この世はでっかい遊園地

 最近の犬のしつけ本では、服従心と信頼感を養うとして、マッサージが推奨されている。たとえば『子犬の育て方完璧宣言!』(誠文堂新光社)では、「まずだっこしておとなしくさせます」とある。膝の上で子犬を仰向けにさせ、胸を掻いてやる。しかる後「子犬がくつろげば」、胸や耳をやさしくマッサージするという筋書きだ。ふれあいがあって穏やかで、ステキな方法だと思う。思うのだが、ダリの場合、「まずだっこして」という前提が成り立たない。おのずと、この「仰向けだっこ」は、悲鳴(ダリの)と血(人間の)を伴う「押さえ込み」と化してしまった。いやはや、この子にとって、「じっとする」ことは拷問にも等しいらしい。
 なるほど、パチッと目がさめて、パタッと眠りにつくまで、ダリは止まるということがない。なにしろこの世は、ひらひら動く手やパタパタ逃げるかかとなど、追いかけて食いつくべきもののほか、ぶんどるべきスリッパや洗濯物、平らげるべきトイレットペーパー、闘うべきクッションやゴミ袋に満ちているのだ。それにもちろん、タンスや戸棚の背後の、あの謎めいたすき間にも、もれなく潜入しなくちゃならない。毎日がアドベンチャー、世界はダリの巨大な遊園地なのである。膝の上でくつろぐヒマなんてあるもんか!
 人間の動体視力を越えて、同時に3つの方向へ走り出し、ソファの陰からテーブルの下へワープし、噛みつき、泣きわめき、秒速3往復でシッポを振り、3秒100gで離乳食を吸い込む。それが最初の数週間のダリだった。そして、咬み傷だらけの両手にティッシュやぞうきんを抱え、子犬の胃袋から遠ざけるべきもの(クリップやボールペンやウンチなど)を、なかば呆然と拾い歩く。それが私たちだった。
 母は当時の日記にこう記している。「この無茶苦茶な生き物、可愛いっていえば可愛いけれど、実感が湧かない。ごめんねダリちゃん。きっと今に好きになるからね」。そう、きっと今にね。