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はじめての
テリアブル・
ライフ
1月
そしてジャック・ラッセルにたどりついたのだの巻
2月
ひとりで飛行機に乗ってきたのだの巻
3月
超高速パピー、
ダリ号発進!の巻
4月
危険なまでにフレンドリーの巻
5月
あっぱれ!脱出王の巻
6月
日々是学習!?ダリの幼稚園ライフの巻
7月
ブリブリ・テリアになっちゃった!の巻
8月
目を離したがウンのツキの巻
9月
フーリガン・プチあらわる!の巻
10月
この世は巨大なスタジアムの巻
11月
オトナになんかなるもんか!の巻
12月
あなたも冒険してみます?の巻

 
写真
わが家にやってきて間もない頃のダリ。アゴの発達が追いつかないのか、この頃はいつもこんな風に舌を出していた。不敵な目つきも手伝って、なんだかアカンベーのようにも見える。

ひとりで飛行機に乗ってきたのだの巻

〜2002年2月〜
70代の両親とキャリアウーマンの妹と、近所でSOHO生活の私…
私たちが亡き愛犬シェルティーの後継ぎに選んだのは、
ジャック・ラッセル・テリア。
ついに対面の日が迫って来たのだが…
ワガハイはダリである

 そうそう、名前を決めなくちゃ! 難航していた子犬探しにようやく決着がつき、父が見初めた母犬の元でジャック・ラッセル・テリアとなるべく順調に育つ、子ブタ状の生物を確認してから約2週間。後はただかわいい子犬の到着を待つのみ…というわけにはいかなかった。もうひとつ、大きな決定事項が残されていたのである。
 じつは「子犬誕生」の吉報以来、家族4人それぞれの案を1枚の紙に書き連ねていたのだが、提案数は日に日に増え、書いてはバツをつけられ、その提案者がヘソをまげ…。結局、その紙は、ほとんど夏じゅうただ汚れ続けていたのだった。
 まあ、犬の名前にルールなんてものはないのだが、なんとはなしにわが家では「2文字」というのが暗黙の条件となっていた。というのも、アインシュタインとか、玉三郎とか、長くて立派な名前をつけたところで、結局は「アイちゃん」だの「タマ」だのと呼ぶことなるわけで、お散歩仲間にいちいち本名を説明するのもテレくさい。第一、見た目もふるまいも、名前負けしない立派な犬に育てられる保証などどこにもないのだ。
 命名問題がようやく決着したのは、本犬を迎えるわずか10日前のことだった。その名は、「ダリ」。スペインの画家、サルバドーレ・ダリのダリである。先代犬の名、ミロとも画家つながりだし、かの奇才のインパクトある存在感がジャック・ラッセルにピッタリかもしれない…と、まとまったのである。

テロ事件の翌日に…

 そして去る9月12日。空港に向かう車内は、異様な興奮と緊張に満ちていた。前夜のニュース…同時多発テロ事件のせいではない。待望の愛犬、ダリを迎えに行くのである。なんと彼は、生後1カ月半にして、伊丹空港から羽田まで、ひとりで飛行機に乗ってやってくるというのだ。
 もちろん、動物の空輸には、貨物と違うそれなりの配慮があることは聞いている。それでもやっぱり、生まれて初めてママや兄弟たちから離れ、たったひとりで旅をするなんて、さぞかし心細いだろう。機内を揺るがすエンジン音だって、さぞかし恐かろう。先代犬のシェルティーは、都内のブリーダー宅から実家に着いたとき、不安のあまり、ゲロとゲリを同時多発してしまった。それを思うと、飛行機でのひとり旅など「虐待」にあたる恐れすらあるのでは…!? が、しかし、何人かの先輩オーナーによると、「ジャック・ラッセルは大丈夫」だというのである。
 そうはいっても、やはり心配と興奮のあまり、方向音痴の父の運転はますます迷走し、私のナビゲーションは怒鳴り声になり、母は「ああ、もうどうにかなりそう!」と悲鳴を上げる始末。広い空港内を何周もしたあげく、やっとの思いで貨物受け渡しカウンターにたどり着いたのだ。
 テロ事件の影響もあって、待たされること1時間。ついに、ついにカウンターの上にキャリーケースが現れた。中をのぞくと、我らがダリが、ちっこい足をいっしょうけんめい踏んばっている。
 こういうとき、普通なら、「ワァ、かわいい!」とか「あぁ、ついに会えたねぇ」といった感慨が湧くべきなのだろう。半年近くにもわたる悩みと決断の日々がここに結実したのだ。子犬の方だって、「恐かったよぉ」とばかりクンクン鳴いて、甘える仕種のひとつもするものだろう。
 しかし、ダリのつぶらな瞳には、不安の影も寂しさのかけらもない。あえていうなら「ムッとしたような」つり上がり気味の目で、金網の間からジーッと外を眺めている。しかも、ふた言「キューキュー」と鳴いただけで、あとはクンともキャンともいわないのだ。しばし呆然としていた我々のうち、いち早く我に帰った母が抱き上げると、小さなアンテナみたいなシッポが電気仕掛けのように勢いよくピコピコ振れた。
 どうやら先輩オーナーたちの話は本当らしい。ジャック・ラッセルは、単独飛行なんかヘイチャラなのである。しかも、恐れ入ったことに、帰りの車中では、母の腕のなかでグースカ眠り込んでしまったではないか!
 その図太さにあきれつつ、ようやく私にも感慨が湧いてきた。あぁ、ホヤホヤのうぶ毛の、この感触! ついに犬なしの日々が終わったのだ。テロ事件翌日の今日、私の人生に2匹めの天使が降り立ったのである!
 しかし…いや…待てよ。本当に天使か? 数年前、通りすがりのジャック・ラッセル連れのご婦人がもらした言葉がふいによみがえってきた。
「いいえ、この子は悪魔よ」と。